経営の戯言

経営に関する戯言をつらつらと

人事は保健室であれ

人事は組織にとって最も重要なセクションであるにも関わらず、事業の業績が右肩上がりの場合は最も軽視されやすいセクションでもある。今も昔も、組織を測るのは人でしか無い。

 

かくいう私も長い期間、人事という専門職をおかずに役員が人事を兼務するという期間を過ごしていた。今ではそれを非常に後悔している。もっと早くに人事の重要性に気づけていればもっと早くにスケール出来たはずだからだ。

 

そんな人事経験者からすると、最も大事なのは媒体毎のテクニカルな利用方法や返信の素早さなんかなどではなく、イメージだと思うのだ。人事を完全に引き継ぐ際に私は一言だけ彼女(人事責任者)に伝えた。

 

堤防をつくるときは、水の逃げ道を設けておく必要がある。逃げ道をつくっておけば、そこから水が流れ出ていくので、堤防が決壊するとはない。けれど、逃げ道をつくっておかないと、しだいに水が溢れ出し、堤防が壊れてしまう。部下を叩くときも同じである。逃げ道を用意しておかないと、相手は追い詰められて、窮鼠猫を噛むことになる。

 

これこそが私が最も大事だと思う人事の仕事である。これは私の言葉ではなく、どこかの書籍の拾いもの(出典を忘れてしまった)だけれど、このイメージは私の中で小学校、中学校の保健室なのだ。

 

高度な知識労働になればなるほど、上司やノルマのプレッシャーは強くなる。マジメであればマジメであるほどそのプレッシャーを真に受けてしまう。それは強烈だ。だからこそ、人事は保健室であれ。と思うのだ。

 

組織の中に保健室を持っている企業こそが良い企業ではないか?と思うし、良い組織は必ずと言っていいほど保健室の機能を持った何かがあるのだ。