経営の戯言

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銀座という夜の街が衰退していく理由と、IT業界関係者が銀座に寄り付かない理由

ここ数ヶ月、自分の知見を広げるためにさまざまなことを経験してきた。普段自分では絶対にチョイスしないような誰かが進める飲食店、観光地、普段接しない人との飲み会や打ち合わせ、会合など、可能な限り受け身の姿勢で未経験のことに関してはほとんどのことを受け入れていった。

その中の一つが銀座という夜の街だ。経営者たるもの、銀座に馴染みの店の一つでも持っておきたいものである、いや、別にそんなことはないんだが。六本木、渋谷、恵比寿など、大抵の女の子のお店は20代のうちに経験していたおかげで、30代で金銭感覚や女で人生を狂うことがなくなった身としては良かったんだが、銀座の夜のお店に関しては20代の前半に前々職の社長に連れて行ってもらったきり、ご無沙汰もいいところだったし、あの頃の僕は銀座を楽しむことはできなかった。まぁ自分の金じゃないからね。

そんなこんなで、知人に今の自分のフェーズを伝えると、「いとこが銀座で働いてるから、これから行ってみようか」ということで早速誘いに便乗し、銀座の5本の指に入るというお店へ。

女の子のお店、という意味ではほかと大差ない。強いて言えば、六本木、渋谷、恵比寿なんかよりお年を召された女性が多い。僕の席についたのは27歳から32歳くらいの女子が5名だった(男性は2名)。決して美人ではない、いや、2名はどこかの会社の受付にいるくらいの普通の可愛い子、くらいで、正直顔だけで言えば六本木と恵比寿の方が圧倒的に可愛いだろう。まぁサービスとかそのへんは徹底されていて、トイレ行けばついてくるし、おしぼりや飲み物のタイミングはさすがだなぁと言うところはいくつかあった。ただ、会話は期待していたほどのレベルの高いものではなかった。話を合わせるのがうまい、これだけだった。

その中で面白いな、不思議だなと思った彼女たちの話が、「銀座にIT業界の人はほとんど飲みに来ない」というものだった。僕の知人だけでも豊洲のタワーマンションに住んでいる知人が複数いるのに、ちょっとおかしいなと疑問に思った。このときは不思議だな、くらいにしか思わなかった。

知人のアドバイスで12時前にチェックし、そこそこのワインを空けて誕生日のお祝いなどをして、おおよそ2名で30万円くらい、まぁ銀座なんだからそんなもんだろう。両隣の女子と連絡先を交換して解散。問題はその後だ。

数日後、案の定、お礼のLINEとお誘いがきたのだが、最初は前に話したときの雑談などが続くのだが、どこかでスイッチ入ったようにクロージングにくるのだ。やれあのフレンチにいこうだとか、あの鮨にいこうだとか。いや、食事は全然良い、奢る。ただ、彼女らの連絡はかなりの確実でテンプレート化されているのが透けて見えるのだ。その上で同伴をしてほしいのが丸見えで更に寒い。そこで僕ははっとした。

これこそが"IT業界関係者が銀座に寄り付かない理由"だろう。現代の経営者はさまざまなルートで情報源に触れる。数多くのメルマガやブログ、Twitterを日常的にみたり、分析する。Twitterに上がるテキストやInstagramにアップされる画像から相手の感情を感じ、先読みする。僕らは(少なくても僕の仕事はマーケティングだ)相手の感情や先を読み、曲がりなりにも成長してきた。マーケティングを専門にしていないような経営者ですら、それが専門なのではないかと錯覚するほどに嗅覚が鋭い。これが僕が知っているIT業界者なんだ。そんなクレバーな彼らが銀座に寄り付かないのは、単純に費用対効果があっていないからにほかならないだろう。

高額なお金を払う、それは全然いい。そもそもお金を気にする成功者は稀だ。ただし我慢ならないのは、高貴でも賢くもない女性を相手にし、更に感情が透けて見えるような女性を相手することほどつまらないものはない。そんな無駄な時間はないのだ。

それだったら、素人丸出しの六本木、恵比寿あたりの会員制のキャバクラで口説く、タイプじゃなければ今使っているアプリやツールの情報を仕入れたほうが断然面白いし、費用対効果がよいのだ。

今はオリンピック需要で銀座周辺は盛り上がっているようだったが、ここ2.3年で銀座の夜の街は豹変すると思う。