経営の戯言

経営に関する戯言をつらつらと

「なんとなく」、こそが最強の感情である

喜怒哀楽、感情にはさまざまなバリエーションがある。感情があるから人間は面白い。

私の専門はマーケティングだ。10数年マーケティングに関わっていると、どんなことがあっても覆せない、強いブランドや商品がある。その強いブランドや商品は一体どのような人たちに支えられ、指示されているのかを分析してみると面白いことがわかってくる。


先に答えをあげよう。勿論、全てのブランドがそうだとは言わないが、多くは「なんとなく」というなんとも言えない感情に支えられていることが非常に多いのだ。人がそれらを選ぶことに明確な理由はない。昔から使っているから、だとか、みんな使っているから、だとか、思いは人それぞれかもしれないが、これらはほとんど「なんとなく」という感情の一つだろう。

これは一見して容易にひっくり返せるかと思うだろうが、この「なんとなく」こそが人間の感情の中で最も覆せない感情、もっとも強い感情であることはあまり知られていない。なぜなら、「なんとなく」に明確な理由など無いからだ。


もう少し身近な例で例えよう。恋人のどこが好きなのか?と聞くと若いカップルであれば顔が好き、ファッションが好き、スタイルが好き、優しいなど、わかりやすいものが比較的出てくる。これは付き合いが短いカップルに非常に多いのだが、一定層「なんとなく好き」というカップルもいる。このカップルは非常に別れにくい。なぜなら、上記同様、「なんとなく」に明確な理由など無いからだ。本人でさえ何故そのパートナーが好きなのかを正確に把握しているわけではないのだ。理由がないものを覆すことなどほぼ不可能なのである。

 

覚えておこう。「なんとなく」、こそが最強の感情なのだ。大事なのは、その「なんとなく」をどうやって手に入れるかであり、それこそがマーケターの腕の見せ所なのだ。