経営の戯言

経営に関する戯言をつらつらと

自由(裁量)とルール

人は元来自由を欲しがる。それはいつの時代でも同じだろう。こと、SNSが普及し、さまざまな情報が嘘偽り無く取得できてしまう昨今では尚更である。隣の芝生はいつまでたっても青いものだ。

そんな中で、「従業員に自由を与えたほうがいいのか?」という相談を多く受けるので書いておこう。

結論から述べてしまうと、組織運営において自由(裁量)とルールはセットである。自由には責任が伴う。ルールなき自由はほんとうの意味での自由ではなく、それはマネジメントの怠慢が招いた結果なのだ。

覚えておこう。自由(裁量)とルールはセットで初めて効力を発揮する。

外注は裏切らない

数年ぶりに税務調査が来たんだが、予定を大幅に短縮して3日の予定がほぼ1日で終えて帰っていった。なんせ我が社はホワイトなもんで、叩いたところでホコリも出なければ手土産もあげられないのだ。

いろいろと調べ終わって何も出ないのをわかったのか、小一時間くらい話があるということで席につく。数十億規模の企業としての管理部門の弱さを指摘され、未来の方針をプレゼンさせられたのだが、こちとらどうも納得がいかないので書いておく。

我が社は管理部門が確かに弱い。いや、弱いというより無いに等しいのだ。50名ほどの規模の組織で経理はいないし人事もいない。総務が1.5名、あとは役員がそれ以外のものを受け持つ。でも、それでよいのだ、まわるのだ。
※人事がいないことで成長速度が遅くなっていることに気づき、現在改善策を模索中ではあるけどね。

じゃぁどうやって組織を回しているのかだが、うちの場合は超絶優秀な税理士、超絶優秀な弁護士、超絶優秀な社労士、超絶優秀な経営コンサルと連携している。私は経理が苦手(大雑把なので)だし、労務も弱い、法務関連も線引くらいしかできないし、元々は経営を細かく指導されたわけではない。プレイヤーあがりの経営者なんだから仕方がない。ただし、全方位で鼻は効く。

餅は餅屋だ。自分の苦手な分野はその方面のプロフェッショナルに任せてしまえばいい。そしてこれにはもう1つ大きな意味がある。

外注は裏切らないのだ。

その仕事を好きになる努力はしたのか?

仕事を好きになれないという人がいる。勿論、生活のために割り切って働いている人もいるだろうから、それ自体を否定するつもりはない。ただ、一言言いたい。

 

「その仕事を好きになる努力はしたのか?」

 

生活の為、ローンの為、家族の為、いろんな働く理由があってもいい。ただ、どうせ働くのであれば、その仕事を好きでいることこそ最大のパフォーマンスを出すことができる源だし、好奇心こそが最高のモチベーションに成り得るはずだ。だからこそ今一度問いたい。

 

「その仕事を好きになる努力はしたのか?」

この問いに即答できるようになろう。

 

 

 

強い経営者、すごい経営者の見極め方

強い経営者、すごい経営者とはどういった人なのか?その問いに私自身、明確な答えを持てないでいた。しかし、ここ数ヶ月でおおよそのあたりが付いてきたので書き留めて置こうと思う。

 

まず、”強い・すごい”の定義だが、これは決して企業の規模でも売上でも従業員の数でもない。”ぶれない経営者”が”強い、すごい経営者”だと定義する。

 

ぶれないとは何か?企業を起こした目標、目的、やりたいことなどが終始一貫しているということだ。いうなれば、それがその企業のルールになる。本当の意味で、企業のルールを作れるのは経営者のみだ。だからこそ、その経営者がぶれないのは企業にとってもっとも不可欠な要素と言えるだろう。ルールがコロコロ変わってしまう企業ではそこの従業員は生きにくくなってしまう。水槽の水を頻繁に変えてしまってはそこにいる魚達はなかなか順応出来ないのと同じだ。

 

ルールは企業によってさまざまだ。例えば「家族のような会社にしたい」だとか「この事業を広めなければいけない使命感」だったり、「日本を再度復興させる」だったり、それは実はなんでも良いのだ。ただ、そのぶれなさがあれば、そこに共感し、人は集う。半ば必然的に。そのルールの中であれば、また、そのルールを助長する事業であれば、それは実はなんでも良いのだ。

 

根本的な価値観、使命感、思考、思想、それがぶれない経営者がいる企業は強い。ぶれない経営者は、その下について指揮を執る幹部、働く従業員にとっても絶大な安心感と安堵感をもたらしているのを目の当たりにする。

 

もし、あなたが転職に迷っていたり、これからどういった企業にしようかと考えているならば、ぶれない経営者かどうかを見極めてみてはいかがだろうか?

 

 

 

追記

「うちの社長は言っていることがコロコロ変わって困る。ブレてる」という愚痴が聞こえてきそうだが、それは少し違う。経営者の視座と従業員の視座は天と地、月とスッポン、霄壌の差、天国と地獄。それほど乖離しているのだから理解できるわけがないのだ。いっていることがコロコロ変わったり、やることが変わったりすること自体は悪ではない。繰り返しになるが、根本的な価値観、使命感、思考、思想がぶれないことが最も重要なのだ。

売上よりも利益率・利益の絶対値を常に意識している経営者がいる企業は強い

全ての企業がそうだとは言わないんですけれども、ここ数ヶ月、非常に多くの経営者にお会いする機会がある。その中で、強い企業とそうでない企業を見極める一つの手段を見つけた。

それは、売上だけを伸ばそうとする経営者がいる企業は相対的な競争力を失っていく傾向があり、売上よりも利益率・利益の絶対値を常に意識している経営者がいる企業は非常に強い。そんなイメージがある。当たり前ではあるんだけどね。経営者は見栄との戦いも常にあるわけで。

スタートアップのような企業に関しては前者には当てはまらないので見極めには要注意だし、後者の企業で利益率・利益の絶対値ばかり気にすると個人商店を抜け出せないので、それには注意が必要だ。だからその折衷案というか、成長のロードマップをしける人は地方には多くないのは言わずもがな。

勿論、経営者の好みのスタイルといえばそれまでなんだがね。

つまり私が何を言いたいのかというと、経営者は自分がどういった組織を目指しているのかを常に明確化しておかないと、採用のミスマッチが起こってしまうということだ。そのミスマッチは双方にとって不幸しかもたらさない。

 

大事なことはフォーカスすること

組織運営をしていると末端だろうが中堅だろうが内野に限らず、外野からも突然ボールが飛んで来ることがある。その最もたるものが「新規事業」であろう。新規事業が出ない組織は悪!みたいな風潮すらある。でも、果たして本当にそうだろうか?

 

一見、もっともらしそうな意見こそ注意が必要だ。

長い目で見て勝つ企業とは最もフォーカス出来ている企業にほかならない。反対に、ジリ貧になる企業は最もフォーカスできなかった企業だ。前者の企業は何の企業なのか明確である。後者の企業はよくあるその他の1企業に過ぎない。

もっともらしそうな意見こそ皆を巻き込んでしまう可能性があるから注意が必要だ。経営陣はそのことを理解し、問い続けなければいけない。

大事なことはフォーカスすること。バッターボックスに立ち続けること。世の中の9割の企業はこれが出来ないのだから。

 

--補足--

勿論、同じことを粛々と繰り返すことによる閉鎖感のようなものは否めないが、これこそが経営側の腕の見せどころなのではないだろうか?自戒も込めて。

急成長を遂げる企業に大事な2つのこと

さまざまな企業から相談を受ける中、急成長を遂げる企業とそうでない企業があり、中を見ているとこれらの企業には決定的な2つの違いがあることに気がついた。

急成長を遂げる企業には「収益」と「社会性」の2つが必要不可欠なのだ。

「収益」とはすなわち利益である。利益が無ければ満足な支払いも行えないし、良い待遇は行えない。つまり給与は払えず良い人材を集めることが出来ない負のスパイラルに陥る。かといって利益だけを積み重ねることも経営者の懐を温めてしまうだけであり、それではただの金儲けになってしまう。そんな時代は終わった。村上 世彰氏のいうコーポレート・ガバナンスにも通ずるものがあるが、その側面が「社会性」である。そのビジネスを通して世の中を如何に前進させることが出来るかが問われているのである。

 

念のために補足するが、「収益」だけでもだめだし、「社会性」だけでもいけない。社員の給料もまともに払えないNPOに存続の価値はない。

 

ビジネスが伸びない、とお悩みの経営者の皆様、あなたのビジネスに「収益」と「社会性」はありますか?