経営の戯言

経営に関する戯言をつらつらと

大事なことはフォーカスすること

組織運営をしていると末端だろうが中堅だろうが内野に限らず、外野からも突然ボールが飛んで来ることがある。その最もたるものが「新規事業」であろう。新規事業が出ない組織は悪!みたいな風潮すらある。でも、果たして本当にそうだろうか?

 

一見、もっともらしそうな意見こそ注意が必要だ。

長い目で見て勝つ企業とは最もフォーカス出来ている企業にほかならない。反対に、ジリ貧になる企業は最もフォーカスできなかった企業だ。前者の企業は何の企業なのか明確である。後者の企業はよくあるその他の1企業に過ぎない。

もっともらしそうな意見こそ皆を巻き込んでしまう可能性があるから注意が必要だ。経営陣はそのことを理解し、問い続けなければいけない。

大事なことはフォーカスすること。バッターボックスに立ち続けること。世の中の9割の企業はこれが出来ないのだから。

 

--補足--

勿論、同じことを粛々と繰り返すことによる閉鎖感のようなものは否めないが、これこそが経営側の腕の見せどころなのではないだろうか?自戒も込めて。

急成長を遂げる企業に大事な2つのこと

さまざまな企業から相談を受ける中、急成長を遂げる企業とそうでない企業があり、中を見ているとこれらの企業には決定的な2つの違いがあることに気がついた。

急成長を遂げる企業には「収益」と「社会性」の2つが必要不可欠なのだ。

「収益」とはすなわち利益である。利益が無ければ満足な支払いも行えないし、良い待遇は行えない。つまり給与は払えず良い人材を集めることが出来ない負のスパイラルに陥る。かといって利益だけを積み重ねることも経営者の懐を温めてしまうだけであり、それではただの金儲けになってしまう。そんな時代は終わった。村上 世彰氏のいうコーポレート・ガバナンスにも通ずるものがあるが、その側面が「社会性」である。そのビジネスを通して世の中を如何に前進させることが出来るかが問われているのである。

 

念のために補足するが、「収益」だけでもだめだし、「社会性」だけでもいけない。社員の給料もまともに払えないNPOに存続の価値はない。

 

ビジネスが伸びない、とお悩みの経営者の皆様、あなたのビジネスに「収益」と「社会性」はありますか?

 

これから衰退していく企業の見分け方

 
転職する人や買収を検討している人の一助になればと思って書く。
 
社内のノウハウをベースにした教育事業に乗り出したらその企業は衰退の一途を辿っていくだろう。そのノウハウに伴った人材派遣も同じだ。投資とは最大のリターンを得るために行うものである。であれば、自社の貴重なノウハウや大切な人材を外に出す理由などないのである。それのリソースを自社に向けることが本来最大のリターンが得られるはずだろう?
 
社内のノウハウをベースにした教育事業に乗り出したらその企業の経営者のレベルの低さを如実に表している証拠だ。衰退の一途しかないのだ。

「人が欲しい」という会社で離職者の多い企業は、先ずは社員満足度をあげるべき

企業には"当たり前のようだが当たり前に出来ていないこと"が多くある。その代表的な一つが社員を引き止めることだろう。そんな企業に限って「人が欲しい」、「人が足りない」という。まずは社員満足度をあげるべきではないか?

勘違いしてほしくないのは、働き方や賃金だけが社員満足度を上げる施策ではないということだ。むしろこれらは戦術レベルの話になり、本質的な社員満足度の改善には成りえない。

では、本質的な社員満足度を上げる方法とはなにか?それは会社のビジョンの明確化である。日本は豊かな国だ。仕事を選ばなければ何をしてでも食っていける。これだけ飽和した消費社会の中で唯一根源的に求められるものは"承認欲求"であり、もっとわかりやすく言えば、"働きがい"や"働く意味"をおいて他にない。

今の日本、これからの日本では何をするのでも理由が必要で、それを突き詰めようとすればするほど、巻き込む人間が多くなればなるほど、その動機を求められるようになるだろう。この流れは不可逆だ。昨今では都市部におけるホワイトカラー職に顕著に現れていると感じるが、この流れは早かれ遅かれ地方部にもたどり着くだろう。

というわけで、「人が欲しい」という会社で離職者の多い企業は、先ずは社員満足度をあげるべきなのだ。冷静に考えても、コスト的にそのほうが安上がりなのは言うまでもない。

 

--補足--

勿論、だからといってだれでもかれでも引き止めれば良いというものでもない。社員離脱率0%謳う企業があるが、あれは悪手以外何物でもない。企業には新陳代謝が必要不可欠だからだ。汚い汚れた血液を体内に残しておいて良いことなどなにもないのだから。だからこそ、キーとなる重要人物は徹底的にフォローすべきだろう。少し過剰なほどにね。

問題から目を背ける癖の付いている経営者がいる企業は伸びない

プロダクトだけを磨き続ければよかった創業期とはわけが違ってくるのが拡大期だ。プロダクトの問題のみならず、金の問題、人の問題…経営者は数多くの問題に直面する。

その際にどうしても目を覆いたく成る嫌な問題に出くわすことなんて日常茶飯事だろう。だけど、その問題から目を背けてはいけない。私は拡大期に「バックオフィスの為に起業したんじゃねー!」と税理士、社労士、弁護士に叫んだ経験があるほどだ。それは未だに彼らの中で名言、いや、迷言となっているようだ。

恐ろしい危険に背を向けて逃げてはいけない。逃げれば危険は増幅する。しかし、恐れず即座に挑んでいけば、その危険は半減する。何事からも逃げてはいけない。絶対にだ。 by ウィンストン・チャーチル

 かのウィンストン・チャーチルがいうように、目を背けた分だけ、その問題は増幅する。いつか解決しなければいけない問題なのであれば、今すぐに、その問題が最小のうちに真正面から向き合うべきなんだ。

スタートアップや中小企業が妥協しちゃいけない3つのもの

不振にあえぐ企業はいずれの企業も共通して何かしらを知らず知らずのうちに妥協しているのではないか?自社以外のさまざまな企業の内情を深く知り、関わり合う中で、共通で妥協してはいけないものがあるなと気づく。それは以下の3つだ。

 

  • 人材
  • PCのスペック
  • 組む相手(仕事、株式)

 

人材を妥協する企業は死ぬ

人材は言わずもがなだが、不振にあえぐ企業のもっとも共通する事柄だろう。「どうせ私なんて…」と思っている異性に興味を持つだろうか?否である。これを企業単位でやってしまって結果的に優秀な人材を採用できない、もしくは排出できないでいる企業は本当に多い。目線を高くし、優秀な人、ポテンシャルのある人材に手を伸ばそう。ビジョナリーカンパニーにあるように、AはAを採用し、BはCを採用してしまうのが企業である。Aしか採用しないつもりでないと、その企業に未来はない。

 

PCのスペックを妥協する企業は死ぬ

未だにPCのスペックを妥協して社員にストレスを書け続ける企業は衰退する以外の道はない。PCはITに限らなくてもほとんどの企業で毎日接する仕事の基盤になる最重要のツールだ。そして何よりもせこい。その企業に未来なんてあるはずないだろう。

 

組む相手(仕事、株式)を妥協する企業は死ぬ

人材よろしく、これも類友である。組んだ相手のレベルと同等の企業だと判断されてしまうのだ。提携などは慎重にすべきだ。

 

どこを妥協して、どこを妥協しないのか?そういった判断は企業文化そのものだ。しっかりと見極めないと、取り返しのつかないことになるので気をつけたい。

 

 

 

 

 

何故、東北地方から次世代を担う経営者が出てこないのか?に対する解

かつて、私は年間で50を超える日程を日本全国各地で過ごした。いわゆる出張組からすれば大した出張数でも無いだろうが、月に4回近くの出張となれば私にとっては結構な大事であり、楽しい日々だった。出張では多くの経営者や起業家とお会いすることが殆どであり、真摯気鋭のスタートアップの経営陣や、地元に根を下ろした中小企業の2代目・3代目など、さまざまな経営者がいた。ほとんど後者だが。全国を回り始めて数年経った頃、ふと一定の法則があることに気づくのだ。

「東北出身の熱を帯びた起業家がほぼ皆無ではないか?」

そうなのだ。鹿児島から北海道まで日本全国渡り歩った。仙台も福島も山形も岩手も青森もいった。秋田はすまん、いってない。その中で東北出身で次世代を担うような経営人材に一度たりとも会うことはなかった。数百、いや、恐らく数千人に経営人材に会っていると思う。それでも、東北出身で次世代を担うような、またはそれを想起させてくれる人材に一切出会えていないのだ。


実際に調べてみると、上場企業の創業者、及び現経営者でも東北出身者は数えるほどしかいないではないか。更に調べるうちにわかったのはほとんどの起業家は西から排出されているのだ。孫正義三木谷浩史藤田晋稲盛和夫本田宗一郎豊田喜一郎坂本龍馬、めんどくさいからこのくらいにするけど、日本を代表する経営者はほとんどが西から排出されている。これは一体何故なのか?ここまで偏るには何かしら理由があるのではないか?と疑うのが普通だろう。

ここからは私の仮説になるので話半分で読み飛ばしてほしい。


地理的、歴史的背景が影響しているのではないか?
西の代表格といえば福岡、大阪だろう。特に福岡は起業家の宝庫だ。ではなぜ、福岡と大阪には沢山の起業家が生まれるのか?答えは地理と歴史にある。多少なり日本史に興味がある人は既に察したかも知れないが、日本の歴史は常に西から動いているのだ。その際に発生した大きな戦もほとんどが西から始まっている。戦には莫大な金がいる。それをどこで調達するのかといえば、海を跨いだ貿易に他ならない。世界中見回しても、まず栄えるのは貿易が盛んな海に面した港町からだ。(※昨今では飛行機やテクノロジーのおかげで必ずしもそうではなくなった。)

つまり、西の人々は常に商機があり、変わり続けることが即ち生き残ることだとDNAレベルで理解している可能性が高い。所謂、根っからの狩猟民族なのだ。西の人々に現状維持バイアスは働きにくいのだ。


それに対し、東北で歴史上起きた大きな出来事を上げろと言われると戊辰戦争くらいではないか?有名な武将を上げろと言われたら伊達政宗以外に何を挙げられるか?では、真田丸が始まる前に伊達政宗は何をした人か明確に答えられる人がどれほどいるか?更に少し過去を遡ってみた場合、奥州藤原氏以外に誰がいるだろう?いないのだ、いないのだよ、有名な武将も。起きてないのだ、有名な戦など。つまり、争い自体が稀であり、争うことの必要性に駆られなかった民族、それが東北人なのだ。東北人は変わる必要性に晒される機会が無かった。だからDNAレベルにそれが刷り込まれた根っからの農耕民族といえる。つまり、現状維持バイアスが遺伝子レベルで働きやすい人々なのだ。

つまり、私が言いたいのは生まれ育った地域レベルで起業家に適した風土や環境があるのではないかということなのだ。更にそれは現在進行形なのだ。

これを裏付けるように、日本の歴代総理大臣の出身地を見てみるといい。最多が山口県である。これは今の日本を作った長州藩の流れだ。それだけじゃない。今の日本を動かしている政治家や起業家の殆どは西から排出されている。未だにこの国はこういったバイアスが残っている。(別に悪いと言ってるわけじゃない)

 

ただし、東北地方が絶望的かというとそうではないだろう。それは2011.03.11の未曾有の大震災だ。誤解を恐れずに言えば、大災害があった地域から次世代のリーダーは生まれる。楽天三木谷浩史氏、gumiの国光宏尚氏、彼らは阪神大震災の経験が今の自分を作っていると公言している。他にも無意識レベルでそういった経験が引き金になり、起業している起業家も少なくないはずだ。それらを踏まえれば、次世代を担う起業家は次は必ず東北地方から出てくるはずだ。その筆頭が福島県出身のメタップスの佐藤航陽氏だろう。佐藤氏の同世代の起業家を見回しても、佐藤氏のそれはちょっと比較にならない凄みを感じるのは私だけではないはずだ。

 

というわけでだいぶ長文になってしまったのだけど、私が言いたいのは以下に集約される。

  • 東北地方は歴史的、地理的なハンディを背負っている
  • 日本を動かしている人はほとんどが西の人
  • 次世代を担う経営者は次は東北地方から排出される

ということで、東北出身の起業家にはそろそろ焦点を当ててもいい頃だし、次世代を担う起業家が出てきてほしいと切に願う。そして私もその応援をしていきたいと思っている。